ソウル五輪の正捕手・古田敦也は「考える力」を持っていた
■「いい加減褒めてくださいよ」
プロではヤクルト入団2年目に首位打者を獲得し、通算2000安打も達成した。ソウル五輪では予選の台湾戦でサヨナラ安打を放った勝負強さはあったが、アマ時代は打撃に関してはあまり目立つものはなかった。プロでは野村克也さんから多くの野球の知識を叩き込まれてさらに成長を遂げ、偉大な捕手になった。
毎年、年末に行っていた五輪出場メンバーが集う「五輪会」などで再会した際に、「アマ時代は野球が下手だったのに、よくプロ野球で活躍できたな」と冗談めかして言うと、口をとがらせて「いい加減に褒めてくださいよ。首位打者もMVPもゴールデングラブ賞も取ったんですから」と冗談半分、本気半分で返してきたこともあるが、古田をはじめ、プロでトップ選手になっている人は、考える力を持っている人ばかりだなとつくづく感じる。 =つづく