無策の陸連 エリートマラソンを消滅させるべきではない
かつてお家芸を誇った日本のマラソンはいま風前のともしびだ。生き残るのは東京マラソンだけといわれ、最古のびわ湖毎日、新人登竜門だった別府大分、国際大会の草分けである福岡国際の運営も火の車。陸連には何の対策もない。
日本のマラソンは極めて特殊な発展を遂げ、エリートレースは日本独特のイベントだ。例えば、円谷幸吉の最後のマラソン1967年3月の水戸マラソン(現勝田マラソン)には226人が参加し、円谷は9位で2時間23分37秒。2カ月後に開かれたエリート大会、毎日マラソンの優勝記録は2時間25分53秒。大衆レースとエリートが高いレベルで共存してきた。
コロナで中断中の大衆マラソンはいずれ賑わいを取り戻すだろう。問題はエリートだ。日本には駅伝で鍛え2時間10分を切る現役ランナーが約40人いる。アフリカの時代と言うが、海外の大会はどれも大衆とエリートの混合でコロナ禍のいま、彼らの舞台はない。例えば世界マラソン選手権、世界駅伝選手権を実現できるのはエリート大会の歴史を持つ日本だけ。
■既得権益ではない