プロ野球契約更改の内幕 コレが悲喜こもごも“密室の現場”

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選手が直接意見を言える貴重な場

 昔の契約更改はドンブリ勘定。ロッテ西武で活躍し、通算2081安打の記録を持つ山崎裕之氏が言う。

「オリオンズ時代のロッテがまさにそうでした。そもそも球団の査定がいい加減なので、交渉で粘るヤツほど球団も『しゃあないなあ』と給料を上げてしまう。私はお金でぐちゃぐちゃ言うのはみっともないと思っていたので、最初に提示された額でサインをしていた。毎年、あまりにあっさりと納得するものだから、一度、妻にハンコを持たされずに契約更改に行ったこともある。それでもその場で契約を結んでしまい、家に帰って妻にこっぴどく怒られました。きちんとした査定ポイントが明示されるようになったのは西武に移籍してからですね。あの時代にしては珍しく、進塁打や犠打も評価されていた。西武が強かったのは、チームプレーでも給料が上がると選手自身が納得していたからです」

 契約更改は球団に対して、選手が直接意見を言える貴重な場でもある。選手によっては金銭交渉より、こちらに時間を割くケースもある。

「ロッカールームを奇麗にしてくれ、ファームの食事を充実させてくれ、裏方さんの待遇を良くしてくれなど、意見をしました。後は遠征先のホテルですね。僕らは体が資本、『あのホテルは食事がひどいから、来年から替えてください』と。同じ意見が多ければ、大体通ります」(飯田氏)

「球団には『僕がいなくなった時のことを考えてください』とは、常々言っていました。当時の僕は7年連続20セーブの日本記録を持っていましたが、球団はそれを当然と思っているような雰囲気だった。大きなケガがない僕は、ブルペンにいて当たり前。でも、もし僕がケガをしたり、移籍をしたらどうするのか。『その時のことを考えておいてください』とは言い続けていましたが、どこまで真剣に考えていたのか……」(小林氏)

 ちなみにコーチも契約更改を行うが、球団の言い値をのむか、のまないで退団の2択だという。

「コーチはだいたい1年契約なので、クビを切られないだけでありがたい。優勝などすれば年俸が少し上がることもありますが、球団は『コーチの年俸は基本いくら』と設定しているので、大きく動くことはない。コーチの契約更改は10分で終わりますよ」(飯田氏)

 今年の契約更改では何人が笑い、何人が泣くことになるのか――。

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