日本Sで露呈…G捕手陣とソフト甲斐“投手マネジメント”の差
■19年には坂本、20年には岡本が…
日本一4連覇中のソフトバンクは、勝利の「型」があるように感じる。
例えば2019年の日本シリーズでは、第1戦から坂本勇人を執拗なインコース攻めで攻略し、20年は一転して外角中心。坂本には前年の意識が残っていて、そこを甲斐が突いた。無理にインコースに突っ込むことなく、残像を生かせばいい。内角を意識させたまま、外角中心。前年と連動した巧みなリードである。
20年のターゲットは4番・岡本和真だった。第1戦の初回に千賀滉大に154キロの直球でバットをヘシ折られ、前年の坂本同様、内角を意識させられた。19年は坂本、20年は岡本。巨人を上回るソフトバンクの戦略に2人の主力が潰された。
データ戦でも負けていた可能性がある。まず「個別性の原則」というものがある。例えば同じ右打者でも坂本、岡本、増田大輝への攻め方は違って当然。巨人にはデータ分析室があり、膨大な量のデータが提供されるが、コーチ時代に感じたのは、実戦的な使えるデータと選手を迷わせるデータがあることだ。ソフトバンクの選手には思い切りがあった。ある程度をそぎ落とした中で、確率の高いものを信じて待つ。だからフルスイングができる。試合前、選手はどんなデータを頭に入れて臨んでいるのか。