中日に思い切って仕掛けた第7戦初回のバスターエンドラン
ただ、それで終わらないことが、このシリーズを物語っていた。九回裏に7―7の同点に追いつかれた際には、2戦連続の引き分けが脳裏をかすめた。第6戦の引き分けは敵地で負けなかったことが大きかったが、この日のように4点差を追いつき、勝ち越した試合を取れないのは痛い。先に王手をかけた立場として、シリーズがもつれればもつれるほど不利になると考えていた。まして敗れて逆王手をかけられたら、いよいよ中日に流れが傾きかねなかった。
延長十二回、岡田幸文が決勝打を放ち、その裏を伊藤義弘がゼロに抑えて勝利したときは、喜びと同時にホッとした。胴上げで3度、宙に舞った。わずかな時間ではあったが、まさに至福の瞬間だった。
メディアは「史上最大の下克上」と報じた。選手の力を信じ、チーム全員の力で日本一を勝ち取ったと確信している。この時に活躍した選手たちのことは後に記させてもらうが、現役時代には一度もリーグ優勝をしたことがなかったから、感慨深いものがあった。
■一体感に欠けたBクラス時代