【テニス】大坂なおみ金候補からの凋落「3つの元凶」…3回戦敗退、取材エリア“スルー騒動”で物議
母国で悲願の金メダル獲得はならなかった。
開会式で聖火最終ランナーを務めた世界ランク2位の大坂なおみ(23)が27日、東京五輪テニス女子シングルス3回戦で同42位のM・ボンドロウソバ(22=チェコ)と対戦。第1セットの開始直後、得意のサービスゲームでブレークを許すと、流れを失ったまま、1―6、4―6のストレートで敗れた。
■無風状態と湿気の多い暑さ
「第1シードのバーティが1回戦で敗れているため、第2シードの大坂はこの試合を勝てば、金メダルの可能性が高いとみていましたが……」とスポーツライターの武田薫氏がこう言う。
「台風の影響で会場の有明コロシアムは屋根を閉めていました。外は強風が吹いていましたが、風のない環境になったことを利用したのは、ボンドロウソバでした。勝負どころで風の影響を受けやすいドロップショットを連発するなど、トリッキーなショットを駆使。振り回された大坂はミスを連発しました。いつものように屋根が開いていれば、試合展開は変わっていたでしょう。日本特有の湿気の多い暑さにやられたのも大坂の方でした」
5月の全仏オープン1回戦に勝利した後、精神的負担を理由に記者会見を拒否し、2回戦を棄権して物議を醸した。今大会の1回戦勝利後には「うつ」を告白して以来、初めて報道陣からの質問に応じた。それもペンエリア3カ所で対応したが、しかし、ストレート負けを喫したこの日は違った。
出場した選手は試合後、ミックスゾーンを通過しなければいけないルールがある。話をしたくなければ、素通りすればいいのに、大坂はそれすらせず、いったん会場を後にした。規則違反は最大で2万ドル(約220万円)の罰金が科されることがある。日本テニス協会の説得で何とか戻り、「プレーできて良かった」と絞り出す一幕もあった。
都合の悪いことは話さない
大坂は「何度も同じ質問をされたり、自分を不安にさせるような質問が多い。自分を疑う人の前で話したくない」とツイッターに記したことがあるが、前出の武田氏は「敗因を突っ込まれるのが嫌なんでしょう。しかし、これはテニス選手の義務でもあります。『記者会見でくだらない質問が多い』という指摘があるが、日本以外の試合後の会見は一言一句が記録され、過去の質疑応答もネットで閲覧できます。大坂は日本語の質問にも英語で答えるので全て読めますが、どの試合でくだらない質問があったかの指摘はありません。今回は規則を知らなかったのかもしれませんが、負けて話したくないから、ミックスゾーンを通らなかったと思われても仕方ありません」。
要するに、自分にとって都合の悪いことは話したくないというスタンスなのだ。4大大会を4度制し、年間収入はおよそ66億円。実績は女子テニス界でもピカイチなのに、幼稚というか、プロ選手らしからぬ考え方であり、振る舞い。あるいは、何度も頂点に立ったことでゴーマンになったのかどうか。大坂をそんな選手にしたのは誰か。武田氏が続ける。
■日本国籍を選んでもらうため
「日本テニス協会の影響は大きい。今回の五輪のために、米国と日本のダブル国籍を持っていた大坂に日本国籍を選んでもらおうと(22歳に達する2019年10月に日本国籍を選択)世界中の遠征に3年も4年も職員が帯同した。そんな長い時間を共に過ごしながら、プロ選手としての基本を教えられず、甘やかしたのです。所属先のマネジメント会社を含め、本人とコミュニケーションが取れていないのがよく分かります」
交際中のラッパー「コーデー」もキーマンの一人だ。米国のテニス関係者は「大坂にとってボーイフレンドは心のよりどころ。彼は『テニス界のルールなんて従う必要はない。自分らしくいればいい』などと平気で言うらしい。全くテニスを知らないことで、むしろ本人に強い影響力を持っている。大坂はコーデーの言うことは何でも聞くみたい」と証言する。
3つ目は「国籍」である。日本の大阪で日本人の母とハイチ系米国人の父の間に生まれた。3歳の時に米国のニューヨークに移り、現在はフロリダを拠点にしている。
人種差別反対運動「ブラック・ライブズ・マター」を支持し、昨年の全米オープンで警官らによる暴力で命を落とした7人の黒人の名を記した7枚の黒マスクを1試合ごとに着用。世界中の注目を集めた。武田氏は「日本で生まれ、米国で育ち、ハイチの血も流れている。3カ国にルーツがあってアイデンティティーが複雑です。全米の時のマスクのように、黒人を代表する意識を持ち、話す言葉は英語。日本語はほぼ話せないが、聞く方はほぼ理解できる。心は日本人でありたいと思っている。精神的に不安定なのも、そういうバックグラウンドと無関係ではないでしょう」と話す。
大坂は以前から東京五輪が目標だった。得意なハードコートで、しかも強力なライバルは初戦敗退。それなのにコロッと負け、脆弱な精神面まで露呈してしまった。ダメージは周囲の想像以上に大きいのではないか。