球団にダメ出しされた選手がよそに上位指名されて留飲が下がった
数年前の話だ。担当地区の高校生右腕の素質にホレ込み、スカウト会議で推薦。是が非でも上位指名すべきと口角泡を飛ばしながら力説したものの、部長やエライさんの反応はいまひとつ。エライさんなんて「能力の数値から言っても4位か5位クラスです」と取り付く島がない。
数字だけじゃ選手の能力は測れない。そのためにオレたちスカウトがいるんじゃねえかと言いたくもなったが、ドラフト当日。その高校生右腕がある球団に上位指名されたから留飲が下がったのなんの。球団社長なんて会議後、わざわざオレのところに来て、「ウチは評価しなかったけど、キミが会議で盛んに推薦してた選手が上位で指名されたね」なんてニコニコしながら言ったほど。オレの株が上がったに違いないって、密かに喜んださ。
で、今年のドラフトでも、似たようなケースがあった。
オレがドラフト前の会議で上位での獲得を進言した選手に対する球団の評価が芳しくない。5位くらいの指名が妥当だという。
何だってこう、オレの言うことは受け入れてもらえないのか。ひょっとしてオレは、エライさんや部長に嫌われてるんじゃないかと思ったくらいさ。