富士通「駅伝優勝旗紛失騒動」に突きつけられた難題…“謝罪行脚”が無意味なワケ
元日に走る選手は、さぞかしバツが悪いことだろう。
全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)の優勝旗が所在不明と発表した富士通は16日、平松浩樹執行役員常務が日本実業団陸上競技連合を訪れ謝罪と紛失の経緯を報告した。
同社陸上部は東京五輪・パラリンピックにマラソン代表の中村匠吾や走り幅跳びの橋岡優輝、5000メートルの坂東悠汰ら16人の選手を送り込み、2019年世界陸上50キロ競歩金メダルの鈴木雄介、マラソン日本記録保持者の鈴木健吾なども在籍する実業団の名門だ。このまま優勝旗が見つからないとしても、選手たちに罪はないが、元日のレースを走る前にはライバルチームに頭を下げ続けることになるかもしれない。
実業団連合に謝罪した富士通は、「歴代の優勝チーム、関係者に誠意をもって謝罪してほしい」と要請されたという。だが、簡単な話ではない。
1957(昭和32)年から始まったこの大会の歴代優勝チームを見ると、八幡製鉄、リッカーミシン、東急、エスビー食品、日産自動車、日清食品など、すでに会社が消滅したり、陸上部が廃部や活動停止になっているところもある。1990年から30年間では、会社の経営合理化などで男女で50社以上の陸上部が姿を消しているという。
かつて優勝旗を手にしたチームが少なくなっている以上、謝罪行脚も大して意味はなさそうだが。