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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

日本マラソン界に再生の道はあるのか…「上げ底記録主義」に突き進む陸連の大罪

公開日: 更新日:

■厚底シューズの即席効果

 マラソンのペースメークは難しい。そうかといってペースメークなしなら、サブテンにも届かない惨憺たる結果になるのもまた明白である。

 マラソンの記録はあくまで目安。ところが、財源確保のため躍起になって国内シリーズを展開する陸連は、ポイント制を導入し記録をあおってマスコミ操作に奔走する。

 距離は同じ42.195キロ。80年代の練習量、質、環境を知る人なら、2時間7分台に底上げされた記録が厚底シューズの即席効果だと分かるし、3分は割り引く。宗兄弟、瀬古利彦、中山竹通なら2時間5分を切っている。

 1世紀前の金栗四三と同じオリンピックを至上目標とすること自体が時代錯誤だが、選手の海外挑戦意欲を抑え、国内で上げ底の記録比べをすることがマラソン日本の再生の道なのか。最後のヒーロー大迫傑が引退撤回して再挑戦するという。どこを走るのか。お山の大将なら、もう要らない。

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