大学生投手の「ドラフト1位」評価は“上げ底”だ 代表から漏れた中にこそ逸材がいる
■合宿にも呼ばれなかった逸材
代表を選ぶのは監督やコーチたちだ。明らかに実力が抜きんでていればともかく、そうでない場合は監督やコーチが自分の学校の選手や、同じリーグでプレーする選手を優先的に選ぶ傾向があるのは否めない。マイナーな学校の選手は、それだけでマイナスになりかねない。だとすれば、代表から漏れた中にこそ逸材が転がっているかもしれない。そう思って合宿に呼ばれた49人は目を皿のようにしてチェックしたつもりだ。
代表に選ばれたのはいずれも知名度のある選手か、先の大学選手権で目立った活躍をした選手たちばかり。選に漏れた選手たちの中にも、これは……と思う逸材は見当たらなかった。
「オレもそう思う。けれども……」と、部長がこう続けた。
「そもそも、力はあるのに、この合宿自体に呼ばれてない右ピッチャーがひとりいるだろうが。小柄だが、去年の秋は良かったもんだから、実は密かに期待もしてたんだけど、この春はちっとも評判を聞かない。試合でもあまり投げてないようだしな。えっと……あいつは……おまえの担当じゃねーか! ちゃんと調査はしてるんだろうな」
部長からその投手の名前を聞いて、このクソ暑い中、また仕事が増えると思ったね。
(プロ野球覆面スカウト)