新庄監督なぜ変節…エース&主砲のみならずドラフトまで即戦力熱望で“欲しがり癖”再発
監督就任時の公約
こうした新庄流が奏功してか、両リーグ打率首位(.355)の松本剛(29)や、現在31打席連続無安打とはいえ、自身初の2ケタ本塁打をマークした清宮幸太郎(23)、遊撃に定着しつつあるドラフト9位ルーキーの上川畑大悟(25)など、新しい芽が出てきた。
チームが好調だった7月中旬には、「(球宴以降)ポジションも打順も固定していく」と明言。現有戦力をさらに底上げして来季を勝ちにいく、そんな雰囲気を漂わせていた。
就任会見ではこんなことも言っていた。
「プロ野球という世界に入ってくる選手というのは、レベルはほぼほぼ一緒。ただ、メンタル的な問題であって、それを伸ばせないコーチ、監督がいたと思うんですけど。僕はそのメンタル的なものを引き出す力がものすごくあると思う。そのメンタル的なものを鍛えながら、チームにピッチャー3人、野手4人のタレントをつくり上げていけば、楽しいチームになる」
自ら旗振り役を担い、選手のポテンシャルを引き出してスター選手をつくり上げ、優勝を果たすことをマニフェストにした。キャンプからブレずに選手を鍛え続け、実際に芽が出始めた若手がいるからこそ、開幕以降、最下位を独走するチームに目をつむってきたファンは少なくない。新庄監督にしかできない日本ハムの再建に期待を寄せているからこそだろう。
■「エースと4番は育てられない」
ところが、ここにきてことあるごとに「即戦力が欲しい」と言い始めた。もちろん、育成を完全に諦めたわけではないだろうが、ドラフトと育成を強化の2本柱としてきたこれまでのチームづくりとは真逆の考え方と言っても過言ではない。
もっとも、新庄監督は前半戦の頃から大型トレードやレンタル移籍の構想などを明かしていたように「欲しがり癖」は今に始まったことではない。さる21日のソフトバンク戦後に「(来季の開幕直後は新球場の)物珍しさで見に来てもらいたい。(以降は)ファイターズが勝たないと来てもらえない」と話すなど、近頃は輪をかけて危機感を募らせている様子だ。
日本ハムOBが言う。
「だからと言って、ただ即戦力をかき集めるというのでは、『現有戦力では優勝できません』と白旗を揚げたに等しい。せっかく優勝を度外視して選手の育成に捧げた今季はいったい何だったのか、ということになる。そういえば、新庄監督の恩師である野村克也さんは阪神監督時代、『エースと4番は育てられない』とオーナーに要望したことがあったが、カネで選手をかき集めるというなら、どこかの金満球団と同じだし、新庄監督である必要もないでしょう」
新庄監督が本気で路線変更を考えているならば、ファンはむしろ失望するのではないか。