荒れ球は大いに結構! 藤浪晋太郎がアスレチックスで“完全復活”する根拠
あんな笑顔を久々に見た。米アスレチックスへの入団が決まった藤浪晋太郎(28)の現地での会見。希望に満ちあふれた表情を見て、こちらまでうれしくなった。制球力の不安を聞かれても、「直球とスプリットには自信を持っています。どちらもコントロールできる」と胸を張っていた。
私にとっては、阪神入団以来、一方的に目をかけてきた投手。日本代表の投手コーチを務めた2017年のWBCでは、藤浪の侍ジャパン入りにこだわった。前年の成績は7勝11敗、防御率3.25。169回を投げて、リーグワーストの70四球を与えていた。当時の代表内にも、藤浪招集に懐疑的な意見があったのは事実だ。でも、小久保監督に「大谷翔平、菅野智之と並んで日本球界では別格の投手。呼ばない手はありません」と強く推薦。納得してもらった。
「細かいコントロールなど気にするな。意識するのはひとつだけ。腕を縦に振ることだ。そうすれば、球は横には暴れなくなる。ストライクゾーンの上下にぶれるのはいいんだ。おまえの球威と角度があれば、打者は振ってくれる」
彼に言ったのは、これだけ。キャッチボールでも傍らにつき、「相手の体から球が外れなければいい。上下のラインを出すことだけ。そう、そうだ。それでいいんだ」と言い続けた。