どこよりも早い「春のセンバツ優勝」予想! 専門家3氏と日刊ゲンダイが占う
第95回センバツ高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)の選考委員会が27日に開かれ、記念大会のため、例年より4校多い出場36校が決定した。昨春のセンバツと昨秋の明治神宮大会を制した大阪桐蔭、昨夏の甲子園で東北勢として初めて優勝旗の「白河越え」を達成した仙台育英の2校が軸といわれる記念大会。高校野球に詳しい専門家3氏と日刊ゲンダイが優勝校を予想した。
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「補欠のミカタ レギュラーになれなかった甲子園監督の言葉」(徳間書店)など高校野球関連の著書が多数あるスポーツライターの元永知宏氏は「広陵」を挙げ、こう続ける。
「左腕の倉重聡(2年)は制球力が良く、緩急も使える。昨秋の明治神宮大会決勝、大阪桐蔭戦に先発し、強力打線相手でも通用することが分かった。昨夏のエース高尾響(1年)も故障明けで好投。左右の二枚看板を擁し、投手力が高い。さらに打線は大舞台に強い真鍋慧(2年)という軸がいること。中村奨成(現広島)が活躍した2017年に夏の甲子園で準優勝したように、伝統のスキのない野球にプラスして、大砲がいる年の広陵は強い傾向があります」
比嘉監督の実戦にあった指導が実を結びつつある
高校野球雑誌「ホームラン」元編集長の戸田道男氏もこう言った。
「私が推したいのも広陵です。『和製ボンズ』こと主砲・真鍋の存在が大きい。明治神宮大会の本塁打を見ましたが、はっきり言ってモノが違います。同じ左のホームラン打者だった横浜高時代の筒香嘉智(現レンジャーズ)の打球が当時『マッハのスピード』といわれましたが、真鍋の打球は当時の筒香のマッハより上。広陵打線の迫力はトップクラスです」
高校野球に詳しいスポーツライターの美山和也氏は「沖縄尚学」を推す。
「昨秋の明治神宮大会で仙台育英打線を八回まで無失点に抑えたエースの東恩納蒼(2年)のツーシームがいい。打線は九州大会を4試合連続2ケタ安打と強力。準々決勝、準決勝は2戦連続のサヨナラ勝ちと勝負強さもある。比嘉公也監督は野手の送球を胸ではなく、ベルトの高さに投げるように指導している。これは一塁手が体を伸ばして捕球する際、送球が低い方が伸びやすいから。実戦に合った指導が実を結びつつあります」
若林監督の解任は選手には吉
前出の元永氏は「対抗馬は東海大菅生」とこう言う。
「エースの190センチ、95キロの大型右腕・日当直喜(2年)がいい。直球は最速148キロでも、ただ速いだけでなく、投球術にたけている。安打は許しても得点を許さない粘り強さもある。明治神宮大会はアクシデントがあって降板したものの、秋の東京大会の準決勝、決勝を連投で135球ずつを投げて完投勝利。若林弘泰監督が『ダチョウ並みの回復力』と言うほどの馬力が魅力です。その若林監督が部員への暴力で解任されたことも吉と出るかもしれません。コーチを務めていた29歳の上田崇氏が監督になりますが、今まで監督の方を向いてやっていた選手が大舞台でノビノビと野球ができるはず。もともと、大阪桐蔭に負けないほど、全国から能力の高い選手が集まっている。そんなエリートたちが、聖地で解き放たれれば、一気に頂点もあるのではないか」
日刊ゲンダイが推すのは「報徳学園」だ。関西の球界関係者がこう明かす。
「まずドラフト候補の盛田智矢投手(2年)、堀柊那捕手(2年)のバッテリーを中心とした守備が堅いこと。攻撃は堀、石野蓮授(2年)、辻田剛暉(2年)のクリーンアップを軸に、つなぐ野球で得点を重ね、伝統の機動力も健在。昨秋の近畿大会決勝で大阪桐蔭相手に0-1の接戦を演じるなど地力は十分です」
台風の目は長崎日大、海星、クラーク国際
前出の戸田氏は「ダークホースは長崎日大と海星の2校が初めて同時出場する長崎勢」とこう言った。
「近年、長崎勢の躍進が目覚ましい。秋の九州大会は17年に創成館、20年に大崎が優勝。21年夏の甲子園は長崎商が16強入りし、昨春は長崎日大が近江(滋賀)とタイブレークの接戦を演じた。昨夏は海星が強豪・天理(奈良)などを撃破した。長崎日大と海星はチームカラーが似ていて、複数の好投手を擁し、打線も強力。昨夏の甲子園で16強入りした海星のような旋風が期待できます」
さらに「台風の目」として「クラーク国際」を挙げるのは前出の美山氏だ。
「主将の右横手投げエース新岡歩輝(2年)は、北海道の地区予選から7戦47イニングを投げ、自責1と抜群の安定感でした。かつて駒大岩見沢を指揮した佐々木啓司監督の雪上ノックには定評がある。『ヒグマ打線』で83年センバツ8強、93年センバツ4強。秋の全道大会を2連覇したことは偶然ではありません」
栄冠はどこに輝くか──。