元近鉄監督・梨田昌孝「おまえたちがつけている背番号はすべて近鉄バファローズの永久欠番だ」
しかし、ライブドアに続いて楽天が参入の意向があることを表明、9月18、19日、選手会による初のストライキが決行されるなど事態が紛糾する中、11月2日のオーナー会議は結果的に楽天の新規参入を認めた。野望がかなわなかった堀江だったが、その言動には賛否両論ありながらもあの時、堀江の登場がなければ間違いなく1リーグ制に移行していた。その意味で彼の果たした役割は大きかった。
9月27日のヤフーBBスタジアム(現ほっともっとフィールド神戸)。「いてまえ打線」と呼ばれた強力打線でファンを魅了した近鉄が近鉄として戦う最後の日を迎えた。相手はくしくも合併先のオリックスだった。
指揮を執るのは選手、コーチ、監督として近鉄一筋29年の野球人生を歩んできた梨田昌孝。泣いても笑っても55年の歴史を刻んできたチームはこれで消滅する。試合前、梨田はナインに向かってこう言った。
「みんな、胸を張ってプレーしろ。おまえたちがつけている背番号はすべて近鉄バファローズの永久欠番だ」
選手には生涯忘れられない、重たくも熱い言葉だっただろう。
(清水一利/ライター)