「スポーツ多刀流のすすめ」女子やり投げ北口榛花を育てた日大時代の監督が提言
1つの競技しか経験しないことは故障の原因にも
ゴルフが好きな小山氏は、北口と若手女子プロの共通点やスポーツの「二刀流」「三刀流」のメリットについてもこう語る。
「去年、今年と大活躍している、双子の女子プロ岩井(明愛・千怜)姉妹には注目しています。2人は中学時代、陸上の長短距離で好成績を出し、野球の遠投やサッカーのリフティングに、逆立ちも補助なしでできると新聞やテレビで知った。これだけの身体能力ならゴルフ以外の競技でも成功したでしょう。ゲンダイの記者によれば、男女のプロゴルファーや、現在甲子園で行われている全国高校野球選手権に出場している選手の多くは、子供の頃からゴルフや野球一筋で、学校の体育の授業ぐらいでしか他のスポーツをやったことがない者が多いという。子供の頃から1つの競技しか経験してこないと、筋肉や関節は同じ動きにより過度の負荷がかかり故障しやすい。例えば、小学校からゴルフや野球、サッカーなどを専門的にやることは悪いことではありませんが、異なるスポーツもやって欲しいですね。これはスポーツ庁の室伏長官も同意見です。ゴルフの石川遼プロは小学校からゴルフに熱中しながらサッカーをやったり、中学時代は『ゴルフにいいから』と、陸上部で汗を流していたという。繰り返しになりますが、子供の時から単一のスポーツを専門的に行うのではなく、多くのスポーツを経験して欲しい。体のことだけでなく、1つのスポーツに特化するとどうしても成績重視になる傾向がある。一方で、勝ち負けなどの競技性がないとおもしろくないのだが、子供の頃から成績ばかり追い求めたり、子供以上に親が成績にこだわると競技が楽しめなくなる。北口はやり投げが楽しくてしょうがない。だから記録も伸びるのです。スポーツの語源はラテン語の『deportare』です。日々の生活から離れることで、『楽しむ』『遊ぶ』などを意味する。子供は多くのスポーツを体験すると、新たな発見もあるし、それが楽しさにつながるものです」
最後に、世界陸上に臨む北口について小山氏はこう言う。
「金メダルを狙える位置にいる。最終6投目までのまとめ方もわかっている。優勝を狙って欲しい」
女子やり投げ決勝は日本時間26日午前3時20分からだ。