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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

女子やり投げ北口榛花の世界陸上金メダルに思う…選手が国旗をかざす意味の変化

公開日: 更新日:

■国歌や国旗は、ごく自然な流れ

 陸上競技の世界選手権が始まった83年、ボイコット続きの五輪のアンチテーゼ、個人優先の大会と言われた。仕掛けが電通だから本音かどうかはさておき、選手の方から徐々に国家を前面に出すようになった。勝てば国旗をかざしてウイニングラン、表彰台では国歌を口ずさむ……ただ、かつての代表の愛国心と違い、選手は自分の活動が周囲の理解と激励の上に成立していることを表現したいのだ。国歌や国旗は、ごく自然な流れだろう。

 世界が身近になり、もはや国際試合=代表戦ではない。テニスの4大大会は世界選手権ではない。ウィンブルドンに国内選考会はなく、ボストンマラソンを走るのに陸連のお墨付きは不要。80年代以降、スポーツから国家観が剥がれ、プロ化を先導した旗頭はカール・ルイスだった。そのルイスも星条旗を手に場内を一周した。「いまも昔も変わらない」ようで、中身は変わっている。

 テニスの全仏ダブルスで日本選手が失格になった時、ネットはテニス協会が抗議しろと吠えた。選手は個人資格で出場し、個人の資質で失格になり、昔と違い、賞金は自分の口座に振り込まれる……協会の出る幕などない自己責任だ。

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