大谷翔平にのしかかる自身の重圧…1000億円超契約と「全力尽くし続ける」決意にひそむ罠
「全力を尽くし続けることを約束します」
大谷にのしかかるのはファンやメディアの“外圧”に限らない。それ以上に問題なのは、むしろ1000億円超の契約を結んだ本人の重圧だ。
「すべてのドジャースファンの皆さん、私は常にチームのために最善を尽くし、常に自分の最高のバージョンになるために全力を尽くし続けることを約束します」
大谷はドジャースと合意後、自身のインスタグラムに英文でこうつづった。
これ、非常に強い決意表明ではないか。遠征先のニューヨークではホテルと球場以外、足を運ばない。睡眠は何日も前から考えて計画的に取るし、食事はあくまでも体づくりのため。ただでさえ「野球のことしか考えていない」といわれる男が、あえてチームのため、最高のパフォーマンスをするために全力を尽くし続けると世界中のファンに誓った。1000億円契約の重さと、それに伴う責任の大きさを自覚しているからこそ。これまで以上の結果を残し、チームの勝利のために全力を尽くすという強い気持ちの表れだ。
■今季は後半戦で悲鳴
今季は開幕前のWBCから全力投球。投打で日本を優勝に導くと、開幕後も投打にフル回転し続けた。
投げて10勝5敗、打って44本塁打で初のタイトルを獲得。2回目のMVPを受賞した。
しかし、シーズン後半、体が悲鳴を上げた。2度目の右肘靱帯損傷。それでも打者として出場し続けた結果、右脇腹痛を患った。だれよりもトレーニングを積み、だれよりも節制しているはずの大谷であっても限界はあるのだ。
大谷は右肘手術明けで来季は打者に専念せざるを得ない。というか2度目の手術だけに、今後は入念なリハビリが必要になる。そんな状況下でドジャースと1000億円の契約を結び、これまでしたこともないような強い決意表明までやった。
6年続けて負け越したエンゼルスですら、最後までチームの勝利のためにファイティングポーズを取り続けた。11年連続でプレーオフに進出している強豪球団にプロスポーツ史上最高額で加入しただけに、求められる結果や期待の大きさはこれまで以上のものになるし、本人にもその自覚がある。
ファンやメディアから受けるプレッシャーはもちろん、それ以上に結果を出さなければならないという自身が自身にかけるプレッシャーが手術明けの体を蝕まないか心配だ。