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津田俊樹スポーツライター

産経新聞記者として1992年アルベールビル冬季、同年バルセロナ夏季五輪を取材。運動部長、論説委員を経て、現在フリー。2019年に東京五輪開催をめぐる問題点を指摘する「ブレないスポーツ報道」(言視舎)を出版。

東京五輪汚職裁判傍聴記(下)毀誉褒貶相半ばする元大会運営局次長・森泰夫被告の正体

公開日: 更新日:

 極め付きは、判決公判直前の今年12月8日の共同通信記者の記事である。

「大会を成功させるか、法を順守するか──。元次長の法廷での発言からは、当時、究極の選択を迫られていたように映った。取材の中である検察幹部は、元次長をこう評している。『立場上責任は取らないといけないが、ババを引いた、と彼は思っているんでしょうね。社会は必ずしもフェアにできていない』」

 森被告は組織委首脳のスケープゴートになったのでは、という記者の思いが伝わってくる。肩入れするメディアは特別なサポート体制を組んでいるのだろうか。

 一方、被告の出身母体の日本陸連関係者は手厳しい。

「オレがオレが、という上昇志向の塊」「組織委解散後、陸連に戻ろうとしても彼のポジションはなかった。だからイベント会社を立ち上げた」

■「情報を漏らしてマスコミを取り込む」

 五輪の運営に携わった競技団体幹部は「マスコミの人と付き合うのが上手でした。情報を漏らして取り込む術はとてもマネできません。ま、マネしようとは思いませんが」と、次第に距離を置くようになったという。

 これほどまでに、毀誉褒貶相半ばする人物はいるだろうか。判決は出たが、むしろ談合事件の真相とともに謎は深まるばかりである。 (おわり)

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