著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

スポーツ報知の「記事ドロボー事件」に思うこと…スポーツ報道に蔓延る「疑似盗用」もしかり

公開日: 更新日:

 報知新聞に盗用記事があったという。甲子園球場100周年を巡る連載記事が他紙からの無断転用と判断された。

 私も世話になった同紙は、かつてスポーツ紙の王者だった。入社時の発行部数は150万部に達し、他の5紙を合わせてもその半分だと聞いた。私が入社して急速に下降したのは、私のせいではなく、その年に長嶋茂雄が引退したからだ。

 スポーツ紙で最も古いのは日刊スポーツで、報知はスポニチに次いで3番目の1949年創刊だが、前身は一般紙。箱根駅伝の当初の主催社として知られる。

 戦後、読売新聞に吸収され一般紙からスポーツ紙へと路線変更したあたりに“王者”の基礎はあった。スポーツ紙と聞いて多くの記者が辞め、それでも残った中に書き手がいたという。単に勝敗を報じニュースを流すだけでなく、読ませる文章を書くストーリーテラーがスポーツ界に入り込んだのだ。

 スポーツ紙への転身は、正力松太郎が構想した巨人軍の“一国フランチャイズ化”に沿うもので、系列の日本テレビによるテレビ中継と連結していた。この構想が58年の長嶋入団、王貞治とのONと相まってのV9時代に劇的に前進。報知新聞は巨人戦だけで何ページも作ることになり、今では当たり前になった、球場外のエピソードを絡ませたサイド原稿を考案。入社当時の編集局長が「あの人が考えたんだ」と、それは今中治という大柄で寡黙な人だった。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース