《周東佑京の巻》育成時代は頭を抱えるほど手を焼いたアピール下手のスピードスター
周東佑京
足だけでプロ入りと支配下枠を勝ち取り、日本代表にも選ばれたスピードスター。それが周東佑京(28)です。
2017年育成ドラフト2位で指名されたのは足の速さが群を抜いていたからです。当時、ホークスの育成ドラフトは一芸に秀でた選手を多く獲得していた。周東は一塁到達まで3秒8という規格外の快足。今でこそ打撃を磨き、スタメン選手として活躍していますが、僕は当初、「代走だけで盗塁王取らせりゃええやん」と本気で思っていました。二塁が空いている場面で代走として出せば、確実に盗塁を決めてくれますからね。
そんな周東がまだ育成選手だった頃の話です。ファームにも地元のテレビ局などがよく取材に来ていました。選手にすれば、絶好のアピールのチャンス。でも、当時の周東は自分からアピールをするのが下手。聞かれたことに答えるだけで、どうにもやる気のようなものが伝わってこない。顔もかっこいいし、名前だって芸能人みたいに洒落ているから絶対に人気出るのに……と、僕も歯がゆく思い、本人にこう言いました。
「ほら、テレビ局の取材来とるよ。今、調子いいんだろ? ならテレビを利用しろって。『いつでも行けます!』って真顔でアピールしなさい。見てる人はちゃんと見てるんだから。それくらい言って、強い気持ちでやってるんだ、とアピールしなきゃあかんよ」