《オレの人生まあまあだったなあ》と突然言われ…ベテラン相撲記者が明かす元横綱・北の富士さん秘話
横綱2人を育てたことを聞いても「弟子が頑張ったから」
北の富士さんは現役時代、『プレイボーイ横綱』と言われたように女性にモテましたが、本人に言わせると『柏戸の方がモテたよ』と。ある場所で柏戸に勝って意気揚々と国技館を出たところ、後ろから突然、頭をひっぱたかれた。驚いて振り向くと、馴染の芸者だった。『なんで柏戸に勝つの!って怒られた』と、笑いながら振り返っていました。そんな話ばかりですね。
自慢話、手柄話、苦労話はしない。横綱2人を育てたことを聞いても、『弟子が頑張ったからだよ』としか言いませんでした」
若い頃からスタイルやファッションに気を遣い、解説者時代も着物や赤い革のジャケットなどを着こなした。
「本人曰く、『若い頃の自分のポッチャリ顔は嫌い』とのことで、引退後は減量に励んでいました。現在は引退してダイエットをする親方が多いですが、北の富士さんはそのはしりと言っていいでしょう。一方で、入門当時は体が細く、恰幅のいい姿に憧れていたこともあったようです。着物や浴衣は太っている方が見栄えがするので、北の富士さんは着物の下にタオルを巻いて、わざと太っているように見せていたのだとか。
解説者として着物姿が定着してからは、ゴルフ場で会ったファンに『今日は着物じゃないんですね』と言われたこともあったそうです。本人は『着物でゴルフするか! ほんと、そう言ってくる人がいるから困るんですよ』と言って笑う。
10年ほど前、北の富士さんが突然、『オレの人生、こう見るとまあまあだったなあ』と言い出したので、驚いたことがあります。横綱まで出世し、親方としても横綱2人を育てた人の人生が『まあまあ』なんて言われたら、僕ら凡人の人生は……なんて思ってしまいますよ。本当に面白い方でした」
現役時代は速攻を得意とする横綱として、引退後は辛口だが愛のある解説者として、多くのファンに愛された存在だった。