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春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

史上初の女性&アフリカ出身会長の誕生でオリンピックはどう変わるか…予想を覆す劇的勝利の要因と今後

公開日: 更新日:

 現在女性IOC委員は48人、44%まで来ている。「アフリカ初」の会長はこれまでの欧米中心主義の国際スポーツ界にも風穴をあけていくだろう。2026年にはセネガルのダカールでユースオリンピックが開催され、これまで唯一五輪開催がないアフリカ大陸での五輪開催も道が開かれる。

 新しい会長に「若さ」が求められたこともコベントリー大勝の要因とみる。第7代会長サマランチ、第8代ロゲ、第9代バッハはみな59歳で会長に就任している。41歳で就任するコベントリーは30代で会長になった創設者クーベルタンに次ぐ若きリーダーである。

 IOC委員の平均年齢は私の調べでは57歳。60代が最も多い。今後、AIをスポーツにどう取り入れるか? eスポーツとどう向き合うか? 若い世代をオリンピック運動に取り込むにはどうするか? 若きリーダーシップが貴重に思えるのも当然の状況だ。

 新会長に憂慮されるのは、スポーツの「自律」を守るために世界の政治指導者と渡り合う胆力である。世界は分断を邁進している。プーチンも習近平もトランプも齢70を越え、自国主義を盾に権力を追求している。コベントリーは政治的対立が深まっていたジンバブエで白人として育ったが、2004年アテネ五輪で競泳金メダリストとなり、人種を超えたヒロインになった。そして、「スポーツは社会の分断を超え、人間性の良さを前面に出し、人々を一つにする力を持つ」という信念を持った。その後も同国スポーツ大臣となりさまざまな難局と向き合ってきた。アフリカの共同体意識に基づく思想、「他を思う」ウブントゥの哲学で世界に融和をもたらす指導者の手本をトランプたちに示すはずだ。

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