怪談で残暑を乗り切ろう編
盛りは過ぎたとはいえ、まだまだ猛暑は続くが、そろそろエアコンに頼っていないで、電力の要らない涼み方に切り替えよう。クラシックな方法だが、幽霊や妖怪の力を借りるという風流な涼み方がオススメ。読み終えた後、一瞬、すうっと背筋が寒くなる4冊を紹介する。
妖怪に出合う旅にいざなってくれるのが、この道の権威で文芸評論家の東雅夫、加門七海の両センセイがまとめた「ぼくらは怪談巡礼団」(KADOKAWA 1400円)だ。
怪談専門雑誌「幽」の編集長でありながら、霊感ゼロの東編集長、カメラマンMOTOKO、アシスタントU、編集者R、加門のメンバーによる怪談ツアーは泉鏡花の「夜叉ケ池」や柳田國男の「遠野物語」の舞台など、全国を巡り歩くが、東京にも心霊スポットはいくつかある。
<本所七不思議>のひとつが、水中から、釣った魚を置いていけという声がするという〈置いてけ堀〉。その“堀”跡認定地が、商店がひしめく錦糸町駅北側、大横川の公園にある。恐ろしげな雰囲気もなかったが、園内のある一点に近づくと、突然、メンバーに異変が起きた。Uさんがめまいを起こし悲鳴を上げると、続いてMOTOKO氏の悲鳴が聞こえ、なぜか東編集長は激しくよろめき、R氏はうめき声を上げる…。