(マガジンハウス 1500円)
「ゴジラの精神史」小野俊太郎著
初作公開から60年、ゴジラは還暦を迎えた。単純な娯楽映画ではなく、その特異性やメッセージ性、秘められた思想のほかエポックメーキングとしての役割など、あらゆる角度から論じた一冊。 戦後復興の証しであるモダンな東京の街並みを破壊し尽くすゴジラの姿に、日本人は何を見るか。戦争や災害などの過去の忌まわしい記憶を想起しながらも、日本人にはたくましく復興する自信があるからこそ楽しめるのだと説く。
英語でGODZILLAと表し、「GOD=神」を入れた米国と、日本の「ゴジラ観」の相違も興味深い。
(彩流社 1800円)