映画「ゴジラ」で読み解く日本的な物語の構図
今、東日本大震災の恐怖は地震や津波といった災厄から、原発の制御困難な危機的状況へと移った。ゴジラやナウシカが象徴する「おそろしさと切なさ」の正体をまさに実感する時なのかもしれない。
「怪獣人生 元祖ゴジラ俳優・中島春雄」中島春雄著
著者は1954年の映画「ゴジラ」の中に入っていたスーツアクターだ。
この本で怪獣特撮モノの舞台裏を忌憚なく語っている。当時の着ぐるみは重く、不自由。数メートル歩くだけで全身汗だく、時には水や氷、火や煙の中で生死を懸けて演じる過酷な職業だ。
スーツアクターは「現場では孤独だ」という表現も興味深い。平均月給3万円の時代にゴジラ手当は20万円だったことなど、今だから話せる秘話・裏話も満載だ。特撮の神様・円谷英二を尊敬し、全身全霊で怪獣を演じ続けた著者の熱い思いも込められている。
(洋泉社 925円)
「ゴジラ徹底研究完全保存版」サトウムツオ編集
ゴジラファン必携の完全ガイド本。1954年の初作から今夏公開のハリウッド版まで、ゴジラ映画全作品を詳細にわたって解説し、日本人が愛してやまないゴジラの進化と歴史をたどることができる。また、歴代ゴジラスーツの変遷や怪獣図鑑、ゴジラと戦った武器一覧、ゴジラが破壊した日本全国激戦地マップなど、細かなネタもまとめてある。過去作品の製作陣や役者陣の軌跡やインタビュー記事とともに、懐かしいポスターなどもカラーで掲載。ゴジラ映画への緻密でマニアックな愛情を堪能できるムック本だ。