「死ぬならボケずにガンがいい」新見正則氏
衝撃的なタイトルには、著者自身の経験が背景に。
「僕の母は4年前から認知症を患い、妻と娘と共に介護してきました。僕を息子と理解できない状態で、どうしたら母が幸せか皆目わからなかった。医者ですらこんなもんかと痛感しましたね(笑い)。実はこの本ができた4日後に母は亡くなりました。凛とした人でしたから、ボケて死ぬことが幸せだったかは今でもわかりません。ただ、家族で死を話し合うこともできたし、僕も『次は自分の番だ』と覚悟しました(笑い)。僕自身は最後まで言いたいことを言って死ぬほうがいいから、がんがいいと思っているんだけど、これまた選べないのが人生ですからね」
(新潮社 1200円)
▽にいみ・まさのり 1959年生まれ。慶応義塾大学医学部卒業後、オックスフォード大学で移植免疫学を学ぶ。専門は血管外科だが、セカンドオピニオンや漢方治療も行う異色の外科医。「患者必読 医者の僕がやっとわかったこと」など著書多数。13年にイグノーベル賞医学賞受賞。