「ビジュアル版 日本の妖怪百科」岩井宏實監修

公開日: 更新日:

 その他、富士山を背負って歩いたという巨人「ダイダラボウ」や、もとは片目や片足の「神さま」だったという「一つ目小僧」や「一本ダタラ」などの山の妖怪をはじめ、海や川にすむ水の妖怪や、村や町などの人の生活圏に出没する妖怪、そして家や毎日使う道具などに宿る妖怪まで、100種以上の妖怪を分類、網羅する。

 中には、長さが10キロメートルもあり、島だと思って近づくと海の底に沈んでしまう巨大魚「赤えい」という破格サイズの妖怪や、京都府亀岡市の西光寺近くのカヤの木の下に出現してそろばんをはじく音をさせるという「そろばん坊主」などの地域限定妖怪など、初めて目にするものもいる。

 歌川芳員や歌川国芳ら手だれの絵師らによる妖怪画も見応え十分。月岡芳年が描く「楠多門丸古狸退治之図」などは、妖怪狸と楠多門丸(楠木正成の息子・正行のこと)の戦いの背後の闇夜にうごめく百鬼夜行が提灯の明かりに照らされ、一部だけ垣間見えるといった趣向で、芸術性と物語性を併せ持った秀逸な出来栄え。その他、河鍋暁斎や伊藤若冲など、巨匠たちの妖怪画も多数収録され、美術的な楽しみ方もできる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動