時代小説でめぐる「東海道五十三次」編
■ふりだし〈江戸・日本橋〉「本朝金瓶梅 お伊勢篇」林真理子著
蔵前の札差、西門屋慶左衛門は生まれついての好色漢。正妻がありながら妾を平気で囲うなど、金と暇にあかせて手あたり次第に女をものにしていた。ところが、肝心かなめの“モノ”が言うことをきかなくなってきた。そんなとき耳にしたのが、効能抜群の精力剤が四国にあるという噂。慶左衛門は、妾とお手付きの人妻をお供に、伊勢参りにかこつけて早速旅立つ。
ところが、一夜目の保土ケ谷(程ケ谷)の宿で、「今助六」の噂高い慶左衛門の顔を飯盛り女たちが次々と拝みに来るからひと騒動。さらに駿河国の興津宿では15歳の美少年に目を奪われ……。(文藝春秋 543円+税)