時代小説でめぐる「東海道五十三次」編
■第11宿〈三島〉「御庭番秘聞」小松重男著
公儀御庭番としてはじめて「遠国御用」を拝命した川村庄五郎と同僚は、商人の旅装を整え出立する。役目は「密輸品の出回り具合」について風聞を集めることだ。
ところが箱根山中を通行中、茶店で毒を盛られるという失態をやらかす。
そんな半死状態の2人を助け、三島宿に担ぎこんだのが旅芸人一座だった。19年後、新潟湊での抜け荷探索に赴いた庄五郎は、旅一座にいた女軽業師・おたきと再会を果たす。箱根以来、互いに憎からず思っていた2人は急接近し、ついに深みにはまってしまう。しかし、おたきは薩摩藩の密偵だった。(廣済堂出版 686円+税)