「追いかけるな大人の流儀5」伊集院静著
「大人の正しい生き方」を説く人気エッセーシリーズ最新刊。
望み、願いといった類いのものを、必要以上に追いかけたりすると、不満、不幸を招くことがあると、今回は「追いかけるな」をテーマにつづる。病死した妻の通夜の席で、著者を斎場の隅に呼んだ彼女の祖父は「良い女性がいたらさっさと次の家庭を持ちなさい。いつまでも追いかけていたら、周りも不幸になるからね」と語ったという。
また、五輪エンブレム白紙撤回を話題に「独創性をあと回しにして、易きに走る輩が、目の前の明るさを“追いかける”から失敗する」と斬る。年老いた愛犬との日常や17歳で亡くなった弟の思い出などを語りながら、立ち止まることで見えることがあると説く。(講談社 926円+税)