ついに現実となったトランプ大統領候補 その“経歴と素顔”
「崩壊するアメリカ」横江公美著
ついに現実となった「トランプ大統領候補」。一番慌てているのが保守の牙城・共和党主流派。日本でもこぞって保守派がトランプ叩きを始めている。
「オバマは弱い大統領」「アメリカは弱い国になった」――これらは日本人の大きな誤解と著者はいう。保守系の米国大手シンクタンクの元上級研究員だが、共和党びいきの日本の保守知識人はレーガン時代への郷愁にとらわれているとバッサリ。世代交代の進んだアメリカでは「世界の警察官」は時代錯誤。新世代保守は国際問題への関心が薄く、むしろクルーズのようなイデオロギー保守が主流化しているからだ。
オバマを大統領にした08年選挙を境に、レーガン時代以来の保守は明らかに衰退。経済格差是正をうたい、キリスト教倫理にもこだわらず、他国への軍事介入を不要とするトランプはすべての点でレーガンとは逆。むしろウォール街と対立、政治的には非主流派、支持層は白人という3点でトランプに一番近いのは何と民主党のバーニー・サンダースなのだと分析する。
要は、既得権益に慣れてきたエリートに手厳しく、だからこそこれまで保守本流だった既成エリートはトランプが大嫌いというわけなのである。(ビジネス社 1400円+税)