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「シャープ崩壊」日本経済新聞社著

 巨額赤字に不正会計、醜悪な人事抗争……。いまやバブル期の面影もない日本企業の総崩れ状態だ。

 関西の名門電機がついに外資の軍門に下ったニュースはいまだ記憶に新しい。アップルの下請けで世界的な躍進を果たした台湾・鴻海(ホンハイ)に事実上買収されたシャープ。かつては無借金経営で鳴らした堅実派がなぜ自壊したのか。

 始まりはともに実力派の4代目町田勝彦社長と5代目片山幹雄社長の確執。当初は蜜月の2人だったが、片山時代に建設した巨大な液晶工場が巨額赤字の原因になったところからほころびが生じた。やむなく6代目奥田隆司社長に禅譲したが、翌年に片山氏がクーデターを起こし、社内は大混乱に陥る。

 しかし本書によると真の背景はソニーや松下に対する長年のコンプレックスと、シャープを世界企業に育てた2代目社長家との入り組んだ閨閥がらみの人事模様のようだ。企業ドキュメントはお手のものの日経取材班の仕事だけに呆れるような人事裏話がこれでもかとばかりに続出。さながら「島耕作」を地で行くドロドロ抗争劇だが、“水に落ちた犬を棒でたたく”ような後味の悪い読後感もなくはない。(日本経済新聞出版社 1600円+税)



「セブン-イレブン鈴木敏文帝国崩壊の深層」渡辺仁著

 最大手コンビニとして業界に君臨するセブン―イレブン。辣腕の鈴木敏文元会長の退任は衝撃的ニュースとして伝わった。本書はこのセブン帝国による非道なフランチャイズいじめを告発した専門ジャーナリストの遺稿。セブン帝国は自衛隊OBの経営幹部を雇い、全国に“連隊方式”の制度を張りめぐらせ、過酷な上納金制度に苦しむフランチャイズ店の元に「特殊部隊」を送り込んで、自殺に追い込むほど厳しい監視と取り立てを行っていたという。イトーヨーカ堂の創業家と「中興の祖」鈴木氏との確執もつぶさに描き出す。

 元祖アメリカのフランチャイズオーナーまでが抗議したという「鈴木商法」への命を懸けた執念の告発。(金曜日 1400円+税)


「東芝不正会計」今沢真著

 会社ぐるみの不正会計という前代未聞の醜聞を引き起こした名門。しかし東芝の決算発表延期というニュースは、当初、専門の日経新聞すら重大視しなかったらしい。本書は唯一先行した毎日新聞の経済記者による連続リポート。

 西田厚聡、佐々木則夫、田中久雄の3代の実力派トップが「チャレンジ」と称する過剰な利益上積みを各事業部に要求し、結果、会社ぐるみでの不正に走った。さらにアベノミクスの中核に虎の子の原発事業を売り込んだが、いまやそれも危うい。株価下落にもいまだ歯止めがかからず、「倒産」の文字さえちらつき始めたのだ。(毎日新聞出版 1000円+税)



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