当時の少年少女は高齢者に 伝説の「ウルトラQ」が50周年
「光線を描き続けてきた男 飯塚定雄」飯塚定雄、松本肇著
多頭のキングギドラが3つの口から吐き出す破壊光線の不気味さ。円谷プロのつくる映画では「光線までもが演技している」と評されたのはマニアの間では有名な話だが、大半は手描きで1作ごとにオプチカル合成されていた。この光線の多くを描いたのが著者だ。
第1作「ゴジラ」の製作中に高校生バイトとして現場に入り、そのまま現場に居ついて「円谷プロに飯塚あり」とまで仰がれるようになった伝説の人だ。江戸っ子で画学生くずれの伝法な語り口がつづる特撮一代記。
「ウルトラQ」のときは東宝社員ゆえ本当は無関係のはずだが、円谷御大からのお声掛かりで部分的に参加。やがて「Q」から「ウルトラマン」になったときのスペシウム光線はむろんこの人が描いたものだったのだ。(洋泉社 2700円+税)