「残りの人生で、今日がいちばん若い日」盛田隆二著
ある夜、出版社の編集者・柴田が、交際中の冴美と帰宅すると、誰もいないはずの家の明かりがともっていた。
祖父母と暮らす9歳の娘・菜摘が、休日を父親と過ごすためにひとりで来ていたのだ。5年前に離婚した際、柴田が菜摘を引き取ったのだ。
一方、16年間勤務した百貨店を辞め、求職活動中の百恵は、結婚相談所に登録して何人かの男性と交際するが、再就職も結婚も思うように進まない。担当する作家・黒崎の新刊の販促に動き出した柴田は、ある書店員が書いた感想コメントが気に入り、その書店員が勤務する店でサイン会を催すことに。コメントを書いたのは契約社員として働く百恵だった。
それぞれ事情を抱える2人の間に、ゆっくりと熟成される愛を描いた長編。(祥伝社 730円+税)