海藻を分解する腸内細菌が内臓脂肪を撃退
「内臓脂肪を最速で落とす」奥田昌子著
中高年特有の、内臓脂肪がついたポッコリお腹。見栄えが悪いだけならまだいいが、内臓脂肪が増えすぎると健康にもさまざまな悪影響を及ぼす。
脂肪細胞には、インスリンの効き目を高めたり血圧を下げるアディポネクチンという物質を分泌する働きがある。近年、痩せすぎは体に良くないといわれる背景にはこのような仕組みの解明がある。
ところが、脂肪細胞が増えすぎてメタボ状態になると、アディポネクチンの分泌が低下することも分かっている。すると、動脈硬化が進み、血圧が高くなり、糖尿病を発症しやすくなる他、がんやアルツハイマー型認知症のリスクも高まる。
本書では、内科医として20万人以上の診察にあたってきた内科医が、内臓脂肪の恐ろしさを解説するとともに、内臓脂肪を効率的に落とす方法を伝授している。
食生活に積極的に取り入れたいのが、海藻だ。日本人の腸には、海藻を分解する特殊な腸内細菌がいることが近年明らかになっている。この腸内細菌が海藻を分解するときに発生する短鎖脂肪酸という物質には、脂肪細胞が増えるのを防ぐと同時に、脂肪をたまりにくくする作用があるという。食の欧米化が進む以前の日本人にメタボが少なかったのも、毎日の食事で海藻をたっぷり食べていたからとも考えられるのだ。
細切れ運動のススメやラジオ体操の効能など、内臓脂肪に効く生活習慣の工夫も紹介。ポッコリお腹に詰まった内臓脂肪は、早々に落とすが吉だ。(幻冬舎 780円+税)