「伴走者」浅生鴨著
「速いが勝てない」ランナー・淡島は、視覚障害マラソンの選手、内田の伴走者を務めることになった。
内田は20代半ばで突然サッカー界に登場し、ドイツのチームで活躍した異端児だった。バイク事故で視力を失ったが、4年かけて立ち直り、マラソンで再び世界に挑むことを目指す。記録ではなく、手で触れられるメダルを取るのが目標だ。
パラリンピック出場枠を取るため、南国の国際大会に出ることに。だが、もう1人の伴走者が腸炎を起こして、淡島が1人で全距離を伴走することになった。互いに短いロープを握って走ると、内田の走りに上下動が多すぎることに気づく。(「夏・マラソン編」)
視覚障害者の世界が見えてくるスポーツ小説2編。
(講談社 1400円+税)