「火影に咲く」木内昇著

公開日: 更新日:

 慶応3年、人斬り半次郎という異名をもつ薩摩の城下士、中村半次郎は、京の四条小橋東詰に店を構える村田煙管店に出入りしていた。その店の娘、さとにひかれていたからだ。さとが「中村様は、ほんまに明るいお方やなぁ。お話ししてると楽しいわ」と言ったとき、常に緊張しているために硬くこわばっていた体がゆるりと溶けるように感じた。

 いつしか男女の関係となり、さとの父も一緒になることを望んでいた。半次郎は「おいはまず、おさとを幸せにせんとならん」と考えていたが、坂本龍馬らが暗殺され、京が焼け野原になるという噂が立ったころ、半次郎はさとと写真を撮ろうと思いつく。(「光華」)

 幕末の志士と女たちが生きた一瞬を描く短編集。

(集英社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神“強制終了”は「事実上の解任」…体調不良で異例の退任会見ナシなど誰も信じない

  2. 2

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  3. 3

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  4. 4

    藤川阪神はヘッド&二軍監督の組閣難航で多難すぎる船出…鳥谷敬氏や赤星憲広氏の招聘は絶望的

  5. 5

    佐々木朗希はトミー・ジョン手術へまっしぐら…メジャースカウトが看破した160キロ右腕の“キズ”

  1. 6

    大谷を苦しめる「ダルビッシュの亡霊」…メッツのデータ分析班が配球パクって徹底対策

  2. 7

    中日・井上新監督が抱える「中田翔」というジレンマ…復活に期待も世代交代の障害になりかねない

  3. 8

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  4. 9

    ソフトバンク 投手陣「夏バテ」でポストシーズンに一抹の不安…元凶はデータ至上主義のフロントか

  5. 10

    二階俊博Jr.vs世耕弘成前参院幹事長…和歌山2区で「裏金」同士の醜悪すぎる罵り合戦【総選挙ルポ】