「ベストセラー伝説」本橋信宏著
1960~70年代の青少年たちを夢中にさせた雑誌や書籍を世に送り出した関係者たちを取材したノンフィクション。
終戦直後、秋田書店を創業した秋田貞夫は、旧知の画家・福島鉄次とコンビを組み「冒険王」を昭和20年代最大の少年雑誌に育て上げる。さらに同社が1969年に創刊した「少年チャンピオン」は先行の「サンデー」「マガジン」を追い抜き、少年誌初の200万部突破を達成。当時の編集長・壁村耐三氏は、あの手塚治虫に罵声を浴びせ、原稿を「遅い」と放り投げるほどの恐れを知らぬ人物。一方でスランプに陥った手塚を見捨てず「ブラック・ジャック」で再生する手助けもした。
その他、ノストラダムスの大予言や試験に出る英単語集などベストセラーの陰に名編集者あり。
(新潮社 760円+税)