「はずれ者が進化をつくる」稲垣栄洋著
雑草研究の第一人者が個性について説く、若者向け生き方指南書。
個性が求められる時代だが、そもそも「個性」とは何か。生物の世界では、個性は多様性という言葉に置き換えられる。生態系、生物種、遺伝子という各段階で多様性を持っている生物の世界は個性にあふれている。
オナモミという雑草の実の中にはやや長い種子とやや短い種子の2つの種子が入っている。長い種子はすぐに芽を出すせっかち屋で、短い種子はなかなか芽を出さないのんびり屋。両者の間に優劣はなく、バラバラであることが強みなのだという。一方でタンポポの花は黄色一色しかないのはなぜかなど、植物たちの生存戦略を例にして多様性の意味や、人に与えられた「個性」の秘密を解き明かしていく。
(筑摩書房 800円+税)