「おぼえています、あのいくさ」浅香須磨子編著

公開日: 更新日:

 9歳だった浅香は家が米軍の爆撃機に破壊されたため、母と弟の3人で祖母の家に向かった。空襲警報は出たが田舎だから大丈夫だと松並木の街道を歩いていたら、飛行音が聞こえた。「艦載機や!」。松の木すれすれの高さから、風防眼鏡の操縦士が浅香を見つめて撃ってきた。私、狙われてる。(「何でそう言えないわけ?」)

 中村六郎は旧制中学に入学したが、授業もなく、毎日、軍事教練と防空訓練ばかり。校庭には工場から疎開してきた赤さびた織機が放置されている。その横に立てられたわら人形に向かって突進し、木銃でその左胸を突き刺すのだ。(「毎日が殺戮の訓練」)

 殺したり殺されたりが日常だった戦争時代の記録。

 (遊友出版 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末