「Forget it Not」阿部大樹著

公開日: 更新日:

「Forget it Not」阿部大樹著

 精神科病院を退院する50代の女性がこんなことを話した。

 彼女が住む住宅の向かい側に、同じ病気の小学生か中学生の少女が住んでいる。その部屋に、女性を相模原から追いかけてきた27歳の男が住むようになった。この男と女性は以前、関係があった。

 少女はその男に「あの女を殺して」と言い、男は止められない。その男は十何人も殺していて、女性も障害者だから殺されるかもしれない。殺そうとする者と止めようとする者という対立項が相模原で起きた事件を再現するように結合している。

 妄想にはそもそも文化という変数が組み込まれており、妄想を突然変異体と捉えるより、それなりの理由があって遍在しているものと捉えるのが妥当ではないか。

 ほかに、戦時下の優生論などについて精神科の医師がつづったエッセーと論文。

(作品社 2420円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    中日1位・高橋宏斗 白米敷き詰めた2リットルタッパー弁当

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    悠仁さま「学校選抜型推薦」合格発表は早ければ12月に…本命は東大か筑波大か、それとも?

  2. 7

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 8

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 9

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議