「生きるために読む死の名言」伊藤氏貴著
「生きるために読む死の名言」伊藤氏貴著
「私の時間は泣いているのに私の時計は笑っている」(「きけ わだつみのこえ」から)
これは第2次大戦で、ミャンマーで行方不明になった27歳の陸軍中尉、武井脩が残した言葉。自分は若いのに残された時間は限りなく短い。時計の針が動くごとに自分の命が削られてゆくことを見つめていたのだ。
「ともすれば死ぬことなどを言ひ給ふ恋もつ人のねたましきかな」(「踏絵」から)
歌人、柳原白蓮は2度も意に沿わぬ結婚を強いられ、恋をしている人を妬む歌を詠んだ。同じ苦しみでも、好きでもない男との結婚生活の苦しみより、愛する人と添い遂げられない苦しみを希求していたのだ。
99人が残した「死」についての名言。 (ダイヤモンド社 1650円)