「天神さんが晴れなら」澤田瞳子著
「天神さんが晴れなら」澤田瞳子著
京都に生まれ育って40年以上になる著者は、20歳を過ぎてから仕事などで東京に行くようになった。
京都の市街地は完全な平地なので、東京は「都会なのに坂がある」ことにショックを受けた。次に東京には直角に交わらない道路があることに驚き、迷子になる人が続出するのではと思ったが、迷子になるのは著者ぐらいだ。逆に、一条、二条と順に名づけられている京都の通りが分かりづらいと言われて「こんなに分かりやすいのに」と嘆く。もしかしたら人間は異なる風習には慣れても、「土地」にはなかなか慣れないのかもしれない。
「中世が生きている」京都で暮らす日々をつづったエッセー。
(徳間書店 1870円)