「レーエンデ国物語」多崎礼著
「レーエンデ国物語」多崎礼著
聖イジョルニ帝国の貴族、ヘクトルは、娘のユリアと旅をしていた。ユリアは幼い頃、ヘクトルから不思議の国レーエンデの話を聞いて心惹かれていた。その国の古代樹の森に住むウル族は、巨木の洞(うろ)で暮らしているという。
ユリアが15歳になったとき、ヘクトルがレーエンデに行くので連れていくことになった。ところが、最大の難所、ファスト渓谷にさしかかるところで、使用人のフープが「ここから先はどうかご勘弁ください」と懇願した。レーエンデに足を踏み入れると、銀の悪魔の呪いを受けると。やむなく2人で旅を続けて、険しい岩場や深い谷を通り抜け、やがて、乳白色の巨木群が見えてきた。すると、その古代樹の中から、大小さまざまなシャボン玉が湧いてくる。
夢見る少女が不思議の国で恋に巡りあい、やがてその国の争乱に巻き込まれる、壮大なファンタジー。
(講談社 2145円)