「校閲至極」毎日新聞校閲センター著
「校閲至極」毎日新聞校閲センター著
ウクライナ侵攻で、プーチン大統領がロシアとクリミア半島をつなぐ鉄道橋を造ったとき、毎日新聞は「露本土とクリミア結ぶ鉄道橋完成」と見出しをつけた。
本土? 校閲担当者の手が止まる。「本土」とは「属国または属島などに対して、おもな国土」のことだ。これではクリミアがロシア領だと認定することになる。「本土」がなくても意味は通じたのに。
映画「北の零年」の間違いを、地元静内の神社の宮司が指摘した。役人が開拓者に「戸籍がなければ扶持米はもらえんぞ」と言う場面があるが、「扶持米」とは士族だけに与えるもので、開拓者全員に与えるのは「扶助米」である。
正確な報道のために奮闘する校閲者が語るエピソード。
(毎日新聞出版 1760円)