「未闘病記」笙野頼子著
「未闘病記」笙野頼子著
難病を患い、今も死の恐怖に脅かされる日々が続く自らの闘病体験をもとに書かれた私小説。
2013年2月12日の就寝中、焼けるような発熱と耐えられない全身の痛みに襲われ、ベッドから出るのも困難な状態に。3日後、ようやく家を出られるようになり、検索して見つけた近所の医院を訪ねると、書き込まれた問診票を見た医師は診察もせずに近くの国立病院へ行くよう言う。渋々と国立病院で検査を受けた結果、筋肉が炎症を起こし急速に壊れるなど、膠原病の4種類の症状が体内で現れる「混合性結合組織病」と診断される。
思い返せば、思春期から説明ができない体の不調と向き合いながら生きてきた。病気の症状とそれに向かう葛藤、そして苦痛まで赤裸々につづった闘病文学。
(岩波書店 1408円)