「奈落で踊れ」月村了衛著
「奈落で踊れ」月村了衛著
1998年1月、大蔵省の官僚が金融機関から「ノーパンすき焼き店」で接待を受けていたことが発覚。多くの官僚がその店で接待を受けたが、89年入省組の磯ノ目らはある事情から自分たちが「人身御供」として処分されると気づき、同期で省内一の変人と評される香良洲に助けを求める。
同期の進退には興味がない香良洲だが、疑惑の中心人物が元銀行局長で、現在の主計局長の幕辺だと聞き、応じる。香良洲は、次官候補でもある幕辺ら省内主流派が推し進める緊縮財政に異を唱え左遷され、本省に戻ってきたばかりだった。疑惑を利用して省内世論を変えようと考えた香良洲は、ノーパンすき焼き店が作っていたらしい顧客リストの入手に動き出す。
実際の接待疑惑を舞台に描く官僚ピカレスク。 (朝日新聞出版 1045円)