「冒険小説論」北上次郎著
「冒険小説論」北上次郎著
冒険小説100年の歴史を振り返り、その豊潤な世界の魅力を改めて教えてくれる文学評論。
冒険小説は英国が本場といわれるのはなぜか。そして、英国と同じ島国なのに日本に冒険小説が育たなかったのはなぜか。まずその理由から解説。
その上で、英国冒険小説の祖と言われる「ロビンソン漂流記」は、やや教訓的であるからと、ロバート・ルイス・スティーヴンソンによる1883年の「宝島」や94年の「虜囚の恋」を取り上げ、冒険小説のなかでヒーローはどのように描かれてきたかを論じる。
以降、「三銃士」などで知られるアレクサンドル・デュマや、中国の水滸伝、そして日本の南総里見八犬伝から夢枕獏まで。古今東西の膨大な作品を俎上に、縦横無尽に論じた日本推理作家協会賞受賞の名著。 (東京創元社 1650円)