“人種タブー”を描いた「ブラック・クランズマン」の本気度

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 黒人のロンが、差別主義者の白人のふりをして電話でKKK幹部らをだまし、信用させ、相棒の白人刑事が“対面役”として面接に出向く。スリリングな“二人一役”の大作戦は、エンタメ要素がありながらもスパイク・リー印の本格社会派ムービーとして、黒人たちから大絶賛。アカデミー作品賞ほか6部門もノミネートされた。

「しかしふたを開けてみれば受賞はわずか脚色賞のみ。監督賞にも作品賞にもそっぽを向かれたスパイク・リーは、授賞式で『グリーンブック』の作品賞が決定した途端、怒りをあらわにしたと報じられています。実際映画は、白人優位のアカデミー会員が投票を躊躇したのもうなずける、ド級のガチ映画。70年代の出来事を描きつつ、世界中にヘイトがあふれる今の時代に鮮やかにリンクさせ、それを招いたトランプ大統領に対する怒りを込めた強烈なもので、似たテーマを扱いながらもソフトな『グリーンブック』とは対照的です」(前田氏)

 受賞スピーチで(来年の大統領選について)「正しい行動を!」と訴えたスパイク・リー監督に対して、トランプ大統領本人もよほど危機感を抱いたのか、即座に反論ツイートを投稿した。アメリカの人種問題のタブーに本気で切り込んだ映画を見るなら、やはり「ブラック・クランズマン」のほうか。

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