著者のコラム一覧
本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。“東京の異界シリーズ”第5弾「高田馬場アンダーグラウンド」(駒草出版)発売中。「全裸監督 村西とおる伝」(新潮文庫)が、山田孝之主演でNetflixから世界190カ国同時配信決定。

しのぶの病気を聞いた村西とおるは「わかった」と一言だけ

公開日: 更新日:

 野田義治が発掘し育て上げた堀江しのぶは、人の心を癒やす笑顔と顔立ちからは想像もつかない豊満な胸が相乗効果を上げ、グラビアやテレビで彼女の姿を見ない日はないほどだった。

 その堀江しのぶが人気の頂点に立った1988年4月、スキルス性胃がんが発覚、医師から余命2カ月の宣告を受けた。野田は高額の医療費を堀江しのぶの両親に負担させず、みずから背負い込んだ。毎月300万円の支出が野田にのし掛かる。

 四谷から目黒区青葉台に事務所を移した村西とおるの元を訪れた。

「(堀江)しのぶが病気なんだ」

「どうした?」

「ものすごくカネがかかる病気なんだ。稼ぎたいんだ。仕事やらせてくれないか」

「わかった」

 村西とおるはそれ以上、野田に病気のことを尋ねなかった。

 1988年夏。

 村西とおるはAVメーカー、クリスタル映像から独立し、新たにダイヤモンド映像とパワースポーツという新会社を起こした。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希はカネにも執着か…チーム力は度外視、4球団との面談で見えてきた"共通項”

  2. 2

    中居正広が地上波テレビから消える?「女性トラブルで“示談金”9000万円」報道の深刻度

  3. 3

    石井琢朗コーチが三浦監督との《関係悪化説》を払拭、「ピエロ」を演じたCS突破の夜

  4. 4

    佐々木朗希はロッテの「足枷」だった…いなくなってFA石川柊太の入団がもたらす“これだけのメリット”

  5. 5

    巨人元バッテリーコーチがFA甲斐拓也獲得を悲観…「人的補償で未来の大切な戦力を失いかねない」

  1. 6

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7

    『光る君へ』ロスはまだまだ続く…柄本佑 “藤原道長”熱演の余韻で《いずれは大河の主役》の声も

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    中居正広“9000万円トラブル”報道の波紋…解決済みでテレビ出演続行、お咎めなしか?

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由